アンドロジナスの感想を書き途中ですが、今のMACABREツアーで思うことがあるので纏まったら先にそちらを更新したいメモ。
思うことというかぶっちゃけエイントのバックスクリーンについてです。
以前国フォのときにも書きましたが、幾つかの理由で私はあの演出大嫌いなのですが、あの一回に留まらず今回まさかの常設入りしたので何故嫌なのか改めて纏めておきたいなーと。
今ツアーで最初に聞いたとき本当にテンション落ちすぎてその後のチケット売ろうかとまで思いましたが、取り敢えずそのときだけ目を瞑ってライブ音源(生演奏)にすることにしました。今のところ成功してます。

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(8/24追記)
先日メモで置いていましたが、改めて何故ain'tの映像がこんなに駄目なのか、備忘録代わりに記しておきます。
あくまで個人の意見とご理解いただける方のみどうぞ。


まず最初に、この記事は何らかの政治的意図や思想は一切入っていないことを明記しておきます(問題は起きないと思いますが、非常にデリケートな話題ではあると思いますので念のため)

1. 映像がきつい
とても失礼な物言いとは承知の上ですが、単純に映像が衝撃的すぎです。
泣いたという感想をよく拝見しましたが「それは泣くよ」と正直思います。人が自身に火をつける姿を見て感情を揺り動かされない人はほとんど居ないでしょう(それがどの種の感情かはともかくとして)
その行為に対する是非は私には分かりません。語るにはそれを知らなさすぎて、言葉を持っていません。
知るべき事実ではあると思います。ですが、何故好きな音楽を聞きに行って強制的にそれを見せられなければならないのでしょうか?その痛みは私たちが背負わなければいけないものなのでしょうか?

2. ain'tは元々それを意図して作られた曲ではない
痛みをテーマにして活動してきたDIRですが、それを社会問題としても位置付けてきたのは「witering to death.」のあたりからだと認識しています。積極的に海外のフェスに参加し、日本のバンドというアイデンティティを意識しだしたのもこの頃からです。
代表的なのは「dead tree」で、この曲は原爆の映像が使われており被爆国としての痛みを表現しています。(個人的にはこれにも非常に思うところがありますが)
メンバーの心情はどうあれ、この辺りから多少なりとも「痛み」を表現する「日本」のバンドとして少しずつ認知されていき、バンド側も恐らくはそれを意図して演じていくことになります。
ですがain'tのときは全くそんな予兆は無かった。あのときは(いい意味で)典型的なV系バンドでした。PVにしても多少京君のメイクが個性的なくらいで(笑)ただ美しいものでした。
そのイメージを抱かせたまま唐突にがらりと印象が変わる映像を使うのはいかがなものでしょうか。
「ain't afraid to die」は「死を恐れない」という意味です。そこから連想したのは理解出来ます。しかしそれと結びつけるには力不足だと思います。曲のための表現ではなく、曲がただのBGMと化している印象を受けました。映像に比べて曲の説得力が失われていました。

3.「近代」の「他国」の痛みを使うことに違和感を覚える
そのままです。ただのロックバンドが何の主張もなく使用するには、あまりに近すぎる歴史問題だと思います。「この映像の時代はこの辺りでこの辺の国かな」と想像の範疇に留まっているのと、明確に判断出来るものでは意図が明らかに異なってきます。
自国のものであれば、まだ意味は有るのでしょう。この国に住んでいる限り歴史教育は避けて通れず、
それがアイデンティティの形成に多かれ少なかれ影響を及ぼしているかと推測出来ます。ではあの映像はどういう意図で、何を伝えたいのでしょうか?それを答えられますか?
政治色、また宗教色が強すぎるんです。被爆国民である我々が原爆の映像を使うだけでギリギリなのに。
信念を持って流しているならば、まだいいのです。世界に蹂躙される個人を描きたいとメンバーが望むのであれば。けれどフェスで最初にRevelation of mankindの映像を流したり、OBSCUREを敢えて映像付きにするところを見ると、わざと過激な面を見せつけているのだろうなと推測します。恐らくはイメージのために。
それも必要なのでしょう。ですが私はそんな演出に頼らなくても十分表現出来るレベルに育っていると信じています。(上手いとは言わないけど)だからこそ、そろそろシンプルに音楽性で勝負して欲しいなと願う次第です。
彼らが売っているのは映像作品ではなく、音楽そのものなのだから。

ここまで長々と書きましたが、要約すれば「格好良くて素晴らしいバンドなんだから、そこで勝負しよ?」に尽きます。
MACABREツアー自体はとても良かったと思うので(特にMACABREの演出含め最高でした)そこだけが本当に残念でした。
これまでain'tを心穏やかに聞けたはずなのに、今再生すればあの凄惨な光景を思い出してしまう。名も無き誰かの美しい空想の物語ではなく、今も弾圧に苦しむ人々の嘆きと一筋の光に聞こえてしまう。
私が求めていたのはそれではなかったのです。